日本のスズメバチの中でも、特に危険とされるツートップ、キイロスズメバチとオオスズメバチ。どちらも遭遇したくない相手ですが、その巣の作り方や場所には、明確な違いがあります。この違いを知っておくことは、どちらの脅威に直面しているのかを判断し、適切な警戒レベルを設定する上で役立ちます。まず、最も大きな違いは「巣を作る場所」です。キイロスズメバチは、前述の通り、非常に適応力が高く、都市環境を好み、人家の軒下や屋根裏、壁の中といった「開放的、あるいは半開放的な空間」に巣を作ります。私たちの生活空間に、非常に近い場所で共存(寄生?)するのが、キイロスズメバチの特徴です。一方、オオスズメバチは、より自然豊かな環境を好み、主に「閉鎖的な空間」に巣を作ります。具体的には、土の中(ネズミの古巣穴など)や、木の洞(うろ)、あるいは、家の床下といった、外からは全く見えない、完全に隠れた場所を選びます。そのため、オオスズメバチの巣は、ハイキングや農作業中に、知らずに巣を刺激してしまい、大惨事になるというケースが多いのです。次に、「巣の外見」にも違いが見られます。どちらの巣も、木の皮などを材料にした、美しいマーブル模様(貝殻模様)の外皮に覆われています。しかし、キイロスズメバチの巣は、比較的きれいな球形に近い形をしていることが多いのに対し、オオスズメバチの巣は、巣を作る場所の形状に合わせて、ややいびつな、釣鐘状の形をしていることが多いです。また、巣の底の部分に注目すると、キイロスズメバチの巣の底は、ほぼ完全に閉じられていますが、オオスズメバチの巣の底は、作りかけの段階では、下側が開いているという特徴があります。とはいえ、素人が巣の外見だけで、この二つを正確に見分けるのは非常に困難です。もし、家の周りでスズメバチの巣らしきものを見つけたら、「それは、キイロスズメバチか、オオスズメバチのどちらかであり、どちらにしても極めて危険である」と認識し、すぐに専門家に相談するという行動原則に、何ら変わりはありません。