まさか自分の家に、あんなものが潜んでいるとは夢にも思いませんでした。それは去年の夏の終わり頃のことです。二階の寝室で寝ていると、夜中に天井裏からカサカサ、カリカリというような、奇妙な物音が聞こえるようになりました。最初はネズミか何かだろうと、あまり気にしていませんでした。しかし、その音は日増しに大きくなり、昼間でも聞こえるようになってきたのです。さすがに気味が悪くなり、天井にある点検口から屋根裏を覗いてみることにしました。懐中電灯を片手に、恐る恐る点検口の蓋を開け、中を照らした瞬間、私は息を呑みました。そこには、目を疑うような光景が広がっていたのです。梁と天井板の間に、巨大な、まるで異星のオブジェのような物体が鎮座していました。表面には不気味な波模様があり、大きさは直径60センチメートルはあろうかという球体。そして、その周りを無数の大きな蜂が飛び交っていたのです。キイロスズメバチの巣だ!直感的に理解し、血の気が引きました。すぐに点検口の蓋を閉め、恐怖で震えながら部屋に駆け込みました。あの物音は、ネズミなどではなく、蜂が巣を拡張するために天井板をかじる音だったのです。どうりで日増しに音が大きくなるわけです。このままでは危ない、すぐに駆除しなければ。しかし、あんな巨大な巣を自分でどうこうできるはずがありません。インターネットで検索し、すぐに地元の害虫駆除業者に連絡しました。事情を説明すると、すぐに来てくれるとのこと。業者の方が到着し、完全防護服に身を包んで屋根裏に入っていく姿は、まるで特殊部隊のようでした。薬剤を噴霧し、巣を撤去する作業は、下で聞いているだけでも緊張感が伝わってきました。撤去された巣は、想像以上の大きさと重さでした。業者の方によると、これほどの大きさになるまで気づかないケースも珍しくないとのこと。特に屋根裏は、暖かく雨風もしのげるため、キイロスズメバチにとっては最高の営巣場所なのだそうです。駆除費用はかかりましたが、あの恐怖から解放された安堵感は何物にも代えがたいものでした。この経験以来、家の周りで蜂を見かけると、以前よりもずっと注意深くなったのは言うまでもありません。